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    コーヒー一期一会

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      常に同じ味のコーヒーを飲もうとするのは根本的に難しいものです。

      難しい理由の一つ目はコーヒー豆が農産物であるからです。

      コーヒー豆というのは産地を絞ろうが農園を限定しようが天候によって毎年味が変わるものです。さらには時代によって栽培や精製法も変わってゆく。そのためスタンダード豆を全体的に見ましても30年前と現在では同じ生産国であっても随分違ったものになったなあと実感することはよくあります。(特定のブランド豆であっても名前は同じで味はガラリと変わってしまうことは少なくありません。)

       また、そうした生産地における農業上の変化のほか生豆は生きものですから日本に入港してからも年間を通じて味もコンディションも変化していきます。現在はニュークロップ(新豆)の方が味は良いとする考え方が主流ではありますが入港直後に良い味のする豆もあれば何ヶ月かたってから良い味のする豆もあります。

       ちなみに、生豆というのは時間経過の中で徐々に劣化していくものなのかというとそうとも言えません。商社のように定温倉庫にでも保管していれば話は別ですが日本には四季がありその気候変化の中で生豆は意外と機敏に環境適応をしているのであって直線的に劣化をしているわけではないように私には感じます。

       

       理由の二つ目は焙煎というのは決して安定したものではないからです。焙煎は気温と湿度の影響を受けるものです。例えば、夏場の高温多湿期と冬場の低温乾燥期で同じ火力、排気、時間にしていたのでは味がブレてしまうことになります。そのため、焙煎する人は気候の変化の中で調整してゆくことが多い。特に春先や冬の初めに焙煎は大きく揺れる。しかしながら、焙煎機の操作を変えながら常に味を一定にするといのは極めて難易度の高い行為ですし抽出液の濃度も変化します。

       日本全国たくさんのロースターが最良の焙煎を求めて日々火力、豆の温度上昇率、時間、排気などの焙煎過程を記録し検証しているわけですが(ちなみに私は全くやりません。私の場合生豆の変化の方に注意を向けているため)努力している人はたくさんいても胸を張って私は焙煎が完全にわかったと言い切る人は多分いないと思います。

       

       以上コーヒーの味が安定しない2つの理由を述べました。

      精緻に味の磨き上げられたコーヒーというのは確かにたいへん魅力的で常にその味を出せるのであれば何とも幸せなことかもしれませんが、そうかと言ってあまりそれに捉われていても仕方がありません。コーヒーの味はある一定の枠組みに収まっていればとりあえず良しとしなければなりません。


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